鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
湖都音が騒いでいたその時……

「あれ?
湖都音早いね。」

ドアの陰からひょこりと顔を覗かせ、未来は微笑みながら言った。
湖都音は瞬時に振り返り、ぎゅう、と抱き締めた。

「未来、私の未来。
元気だった?
怪我ない?
いじめられなかった?」

「恥ずかしいよ、湖都音///」

未来は若干抵抗するが、嫌そうではなく、寧ろ嬉しそうだった。

「照れる未来もかわゆい」

湖都音はキャァキャァと一人で騒ぎながら、目をハートにしている。

「だ、大丈夫だよ。
私がいじめられると思う?」

すると湖都音は真顔で、

「思う。
実際、いじめられてたじゃない。
あの時はボコボコにしちゃった
寧ろ半殺し」

と言った。
これには未来もびっくりで、固まってしまった。
皆は、“湖都音だけはキレさせちゃダメだ”と心に誓った。

「ところで!」

湖都音は急に未来から離れると、肩を掴んだ。

「え?」

意味の分からない未来は、きょとんとしている。

「どうしてさっき“だ”が多かったの?!
大丈夫じゃなかったんでしょ?
どぉなの未来!!」

未来が答えようとしたら、湖都音は肩を激しく揺すりだした。
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