鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
「湖都音さん……、未来が」

李依菜が恐る恐る言うと、湖都音はハッと我に返り、肩を揺する手を止めた。

「未来ごめんなさい!
ごめんなさい!
そんなに強くしたつもりはながっゴホッゴホッ」

湖都音の咳に、未来は意識を取り戻し、湖都音の背中を優しく擦った。

「ゆっくり深呼吸して………。
ほら、吸って…はいて……。」

少したつと、湖都音は情けない顔で未来に怒られていた。

「だからあれほど言ったでしょぉ?
どんなに慌てても、一気に喋っちゃダメだって。
湖都音はすぐ慌てるから。
だからちゃんと酸素を吸いながら話してね?」

「ハイ……。
………私のこと嫌いになった?」

未来はクスッと笑い、微笑みながら湖都音を抱き締めた。

「そんなわけないじゃない。
私は何があっても、湖都音は嫌いになれないよ。
だから………ずっと私の傍にいてね。」

未来がそう言った時、湖都音は未来からいったん離れて、シンプルなシルバーのクロスのネックレスをだし、未来に見せた。

「当たり前です。
私は湖都のように突然消えたりしません。
このネックレスを未来から貰った日から、私は未来とずっと一緒です!」
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