鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
「つきましたよ、お嬢様。」

湖都音は素早く車からおりると、未来の方のドアを開ける。

「お疲れ様でした、未来お嬢様。」

「ただいま、湖都音さん。
お迎えありがとう。」

未来はさっ、と車からおり、来と那柚におりるよう勧めた。

「ごめんなさい、急に私の家に直行だなんて勝手に決めてしまって……。」

実はあの後、游から電話で

早く帰って来い

と言われたのだ。

「いや
俺らは別に」

来は車にいる間ずっと無口だった。
那柚はどこか落ち着かない様子だ。

「今は何時?」

「5:30でございます。」

「では、游さんに挨拶してから荷物を取りに行きましょうか。
皆さんがいらっしゃるのは7:30ぐらいでしたよね?」

「はい。」

「では、先に私の部屋に行きましょう。
荷物は邪魔でしょう。」

「私は奥様のところへ先に。」

「そうね。
すぐ行くわ。」

来と那柚は、未来の後ろを無言でついていく。
通り過ぎるメイドや執事達が、嬉しそうに微笑んだり、頬を染めたりと、皆口々に

おかえりなさい、未来お嬢様

と言って、軽く会釈していた。
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