鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
「″いいよぉ。
何?″」

「俺はアンタに聞きたいんじゃない。
“未来”に聞きたいんだ。」

「″イヤよ。
拒否する。″」

「聞かれて困ることなんだな。
秀麗さんに……関係してんだな?」

「″だったら?
無理にでも聞き出す?
未来と違って、私はいろいろ強いわよ?″」

もう一人の未来は、余裕の笑みを浮かべている。
来も負けてはいないが、若干おされてきている。

来が何か言おうとした時、未来の身体がぴくっと震える。

「″っ……、良かったわね。
未来はあなたの質問に答えるらしいわよ。
ただし、“テディベア”だって。
来と那柚………、気に入った。
じゃ。″」

未来は布団に倒れこむ。

「“テディベア”って?
今朝投げてたの?」

那柚は不思議そうな顔で聞く。

「朝早くにぶらぶらしてたら偶然桐谷 未来に会ってさ。
そん時落としたっぽいストラップ。」

来はズボンのポケットから、今朝のストラップを出した。

「ありがとう。」

未来は来と那柚の間からひょっこりと顔を出してストラップを受け取る。

「これも“湖都”から?」

「それは質問にカウントされる?」

「どっちでも。」

来は意地悪そうな笑みをする。
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