鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
未来はそれに対して、何事も無かったかのような笑顔で、

「どっちでもいいや
あと、二人とも名前呼び捨てでいいからね」

と言った。

「了解。
っていうか、俺はもともと呼び捨てだったけど。
んで、質問の答えは?」

今度は未来が意地悪そうな笑みを浮かべて言う。

「残念☆
このテディベアは私の手作りデシタ。
私と湖都と湖都音、三人お揃いなの。
“ずっと一緒”っていう約束の証に……。」

『…………。』

来と那柚は何も言うことができなかった。
泣きそうなのに泣かないように我慢している未来が、自分達とは違いすぎて……。

「他には?
あるんでしょ?」

しかし、意外にも未来は次の質問を要求した。

「あのチェストの上の写真(いっぱい置いている)、全部一人だけ分からない人がいる。
その人が“湖都”?」

壁に掛けられている写真には、風景画や、湖都音との写真、実母と思われる人とその家系の人達の写真などけっこうあった。

だけど、チェストの上の写真は全て、未来と誰か分からない男のツーショットのみ。

「正解☆
その人が湖都。
優しそうでしょぉ?」

「なんていぅか、………無愛想っすね?」

那柚がぽつりと呟くと、未来に聞こえたらしく、ショックを受けていた。
< 66 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop