鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
やっとのことで紡がれた言葉は、

「………いつですか?」

の一言だった。
游は、“はぁ?”というような顔で、頬杖をついたまま未来を見る。

「いつ鍵を作ったんですか?」

未来から出たとは思えない低い声で問う。
それを聞いて、游は馬鹿にしたように笑い、鍵をくるくると回しながら、

「あぁ、これ?
これはねぇ、バカメイドが「「湖都しか持っていないはずですが?」」

「あらら。
バカメイドなら持ってるかと思ったのに。
ざぁんねん。
可哀想ねぇ。
バカメイドだけ仲間外れなんて。
同情するわ、あなたも……バカメイドも。」

と言った。
それを聞いた未来はキッ、と鋭く睨む。

「私はあなたに同情されるようなことをした覚えはありません。
湖都音、そこにいるんでしょう?
あの鍵、私が学校行くときにあなたに渡した鍵ね。
もぅ、私に愛想尽かした?
あなたは私から離れていかないから、だから渡さなかっただけなの。
その鍵はあなたにあげる。」

湖都音は別のドアの後ろで、湖都の写真を見つめながらその話を聞いていた。

未来は3つあるドアのうち、右側のドアをずっと見つめながら、出ていった。

湖都音は、俯きながら出てきた。
未来がずっと見つめていた、右側のドアから。

「バカメイド。」

游は湖都音を呼び、あの鍵を湖都音に向かって投げた。
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