鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
「………まぁ、これ以上この話をしても無駄なようだから、私は別にかまわないわ。」

游はやむを得ず、諦めることにした。

「″そうですか。
では私たちはこれで。″」

未来が立ち去ろうとした時、

「ちょっと待ちなさい。
鍵をかえたら親に一応鍵を渡しなさいよ。」

それを聞いて、未来はクスリと笑う。

「″私はそんなことはしません。
賢い游お義母様は、合鍵作ったのかもしれない。
それを考えた“未来”は鍵を作り替える……そう考えたんだろうけど、残念、大きなミス。
万が一湖都が帰って来たとき、鍵が開かなかったら入れないでしょぅ?
ではまた後ほど会いましょう。″」

未来が“来なさい”と言うような合図をしたから、みんなは黙ってついていくことにした。
游が合鍵を作るはずもなく、游は悔しそうに握りこぶしをつくっていた。

「……あの子は、………大丈夫ですか?」

「″えぇ、大丈夫よ。
……なぁんて、……“私”が言うと思った?
私はあの子ほど優しくない。
それに、湖都音……あなたどうするの。″」

“ここにいたい”と言えなかった。
思ってないから言えないわけじゃない。
むしろ、思ってるから言えなかった。



























「″泣いてるのよ。
ずっと心の中で、………独り泣いてるの!!
私には何もできない!
心は通じてるけど、私とあの子は一つだから、だから話せないの!
気持ちは分かるのに、痛いほど分かるのに、何もできない自分が憎い!!
私にできるのは、あの子がギリギリの状態になった時に代わってあげることぐらいしかできない!
ねぇ、あなた達にならできるでしょ?!
助けてよ……、あの子を助けて………、独りにしないで………。″」
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