鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
アップルパイ

に、ぴくりと反応した。

「……アップルパイ?」

「はい。
那柚くんからお母様はアップルパイがとてもお好きとお聞きしましたので。
……迷惑でしたか?」

未来は心配そうに那柚の母の顔色を窺いながら、少ししゅん、としている。
それに少し頬を染めている湖都音は、今にも未来に飛び付きそうだ。

そんな反応をしていたのは、湖都音だけじゃなかった。

ぎゅっ。

「ありがとうっ
私アップルパイが一番大好きなの!
もう三食全てアップルパイでいいぐらい
未来ちゃん大好き」

ちゅっ。

あまりの感動に思わず未来の頬にキスをした那柚の母。
それに対し、固まる那柚と来。
湖都音は灰と化し、さらさらと散っていく。

未来は満面の笑みで那柚の母の頬にキスを仕返していた。

「私も那柚くんのお母様大好きです
こんなに楽しいお方なら、私のお母様になってほしいです。」

その言葉と未来の満面の笑みに、那柚の母はかなりメロメロになっていた。

「あ〜もうっ。
なんて可愛いの!
私はこんな娘が欲しかったのよ!
那柚!
未来ちゃんとかわりなさい。
それか未来ちゃんをお嫁さんにもらうのよっ!」
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