鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
「ラミ……?
どこにいるのぉ?」

「京姉様っ。
私もラミを探しますっ。」

恐らく飼い主がこの犬を探しているのだろう。
この犬が飼い主のもとに行けるように離れようと歩きだすと、なぜか犬までついてくる。

「ほら、飼い主んとこ帰れよ。
お前のこと探してんじゃねぇのか?」

来がなんとかしようと考えていると、来の目の前で誰かが立ち止まった。

「ラミ…?」

誰かが戸惑いがちに呼ぶと、犬は駆け出し、その人の前に行くとおすわりをした。

「来くんっ。」

「…………へっ?」

突然名前を呼ばれ、まぬけな返事をする。

「まぁ、この方が来さんですか?」

「はいっ。
来くん、こちら私の母方のいとこの京姉様です。
京姉様、こちらが今日知り合ったばかりの来くんですっ。」

未来は嬉しそうに、交互に紹介をしていく。
京と紹介をされた人は、いかにもお嬢様という感じの人だった。
そして、未来がどれだけ京を好きなのか、分かった気がした。

「来くん。
未来をよろしくね。」

「ぇ……。
ぁ…、こちらこそよろしくお願いします。」

来が軽く会釈すると、京は微笑みながらラミを連れて去っていった。
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