鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
未来は苦笑しながら、来に言う。

「京姉様のことは気にしないでね。
京姉様は私と一緒にいる人には大抵同じこと言ってるの。」

「……そっか。」

来は何故か何とも言い難い感情を感じ、自分らしくもない言葉を言ってしまった。

「望むんなら、叶えてやるのに。」

「ぇ……。」

来はその未来の一言で後悔した。
未来の顔が、困るとか照れるとかではなく、ただただ悲しそうな顔をしたから。

「未来ぃ〜?」

遠くから聞こえる未来を呼ぶ声。
2人がほっ、としたのは、お互いに気付き笑ってしまうほど自然だった。

「私、呼ばれてるから行くね。
もし緊張して食べれなくても安心してね。
私が後で準備するから。」

「はいはい。
那柚にも伝えとく。」

「うんっ。」

未来は微笑みながら呼ばれた方へと小走りで去っていった。
でもすぐに京に注意され、走るのをやめる。

その光景が温かくて、来は頬が緩むのを抑えられなかった。
それから目が離せなくなって、しばらく眺めることに決めた。

すると、歩く音に混じって違う音が聞こえる。
その方向を見ると、車イスに乗っているお祖母さんがいた。
上品なイメージなのに、自分で車イスを操作している。
そして、そのお祖母さんは優しげな顔で未来を見ていた。
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