鎖。*奈落の底へ落としてあげる。*
「未来。」

見た目通りの優しい声に、未来はすごく嬉しそうな顔をして振り向く。

「お祖母様っ。」

広げられる両手に包まれにいくかのように、未来は抱きつく。
お祖母様と呼ばれた人は、優しく優しく未来の頭を撫でた。

「未来はいくつになっても甘えん坊さんなのですね。」

未来は少し頬を膨らませ、

「お祖母様のいじわるは相変わらずですね。」

と拗ねてみせる。
だけどそれさえも愛しいのか、クスクスと笑いながらまだ未来の頭を撫でている。

「髪の手入れは怠っていないのですね。」

「はいっ。
髪は女性の命ですから。
お祖母様の口癖です。」

「まぁ、この子ったら。
口が達者になって。」

お祖母さんは未来の頭を撫でるのをやめ、膝をついている未来を立たせた。

途中、車イスをおそうかと言う人の申し出を何回も断ったりしていた。

「お祖母様、その車イスまだ使ってくださっているのですか?」

お祖母さんは目を細めながら車イスを撫でる。

「当たり前でしょう。
これは優妃と未来が私のために作ってくれたものなんですから。
これだけは誰にも触らせません。
さすがに出し入れは出来ないけれど、未来以外にはおしてもらいたくないの。」
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