甘い愛で縛りつけて
今私……何かおかしい事を考えてた気がする。
なに? “自分だけのものにしたい”って。
恭ちゃん全部を独り占めって、なに――。
「――なに変な顔してんだよ」
急に恭ちゃんの顔がアップになるから、驚いて身体がびくってすくむ。
「な、なんでもないっ」
覗き込むようにして見ている恭ちゃんに、両手と顔をぶんぶんこれでもかってほど横に振る。
なんでもないって言ったのに、恭ちゃんは私の反応を見てニっと意地悪な顔で笑った。
「そんなに慌てるって事は、エロい事でも考えてたんだろ」
「そんなわけないいじゃんっ! 恭ちゃんじゃないんだから学校でそんな事考えるわけないでしょ!」
「おまえ、声でかいって」
そう注意するやいなや、恭ちゃんが私の手を掴む。
そして、すぐ近くの教室のドアを開けて、中に私を押し込んで自分も入ってドアを閉めた。
「え、なに……」
「静かにしてろ」
その直後、ドアの向こうから他の教室のドアが開けられた音がして……。
「おまえの声がでかいから、被服室にいた先生が出てきた」
ドアのガラス部分から覗くように廊下の様子を見ている恭ちゃんが言う。