甘い愛で縛りつけて


さっきまで私が考えていた事が、恭ちゃんを苦しめる事のような気がしたから。
理由なんてないのに、なぜだかそんな気がしてしまって、黙ってしまった恭ちゃんをただ眺めている事しかできなかった。

高い位置にある窓から、日差しが差し込む図書室。
恭ちゃんの横顔が、その柔らかい日差しを受けて……なんだか消え入りそうに見えた。

目を伏せたままの恭ちゃんはすごく綺麗だけど、儚く見えて……切なくなった。

何を考えてるんだろう。
つい聞きたい衝動に駆られたけど、その気持ちを抑える。

そういえば、こんな横顔を過去にも何度も見たことがある。
恭ちゃんに送ってもらう帰り道、夕日を見るたびに、恭ちゃんは寂しそうに目を細めていた。

あまりに寂しそうな顔をするから、恭ちゃんは、夕日が嫌いなの?って、昔聞いた事があったっけ。
いつも優しい顔をする恭ちゃんが、夕日を見る時だけ違う顔をする気がしたから。

色んな感情を抑え込んでるみたいに、無表情な顔をするから。


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