甘い愛で縛りつけて
恭ちゃんが真剣な顔をしたりするから、さっきよりも鼓動が速まっていた。
「気付いてねーの? 俺がなんで実紅にキスしたのか……なんで実紅が他の男を見てたらイライラするのか。
考えれば分かるだろ」
「わ、分かるけど……でも、私が考えてるのと恭ちゃんの答えが一緒とは限らないし……」
「なんで?」
「だって……恭ちゃんは遊びでもキスとか、そういう事ができる人なんでしょ」
ドキドキとうるさい心臓のせいで強い口調になってしまう。
これじゃまるで不貞腐れてるみたいだ。
「なんだよ、妬いてんのか?」
「そうじゃなくて……。そういう基準が私とは違うかもしれないし……」
ぶつぶつ言う私に、恭ちゃんは大きなため息をついた後、「あのなぁ」としかめっ面をする。
それから、一度バツが悪そうな顔をしてから、真剣な瞳で私を見つめた。
ドキンって一際大きく跳ねた心臓が、うるさい。
図書館に響き渡るんじゃないかってほど自分の心音が大きく聞こえた。
まるでふたりきりの世界に入り込んでしまったみたいに、恭ちゃんしか見えなかった。