甘い愛で縛りつけて


「だって、六年前の恭ちゃんとだいぶ違うから。
話してても……なんか別人みたいに感じる」

恭ちゃんと初めて会ったのは、私がまだ小学校三年生の頃。
変質者に襲われそうになったのを助けてくれたのが、当時中学一年の恭ちゃんだった。

それからというもの、私はすっかり恭ちゃんに懐いて、何年も追い回したっけ。
中学生だった恭ちゃんの後ろを、いっつも赤いランドセルを背負いながらくっついて歩いた。

……そのせいで、恭ちゃんはロリコンだって噂が立ってたっけ。

だけど、そんな噂も気にしないで私を構ってくれる恭ちゃんが、大好きだったんだ。
初恋だった。

そんな淡い初恋も、恭ちゃんが引っ越してしまい、私が中学二年の時に幕を下ろした。
それが、六年前の出来事。

「煙草だって吸ってなかったし」

恭ちゃんが左手の指に挟んだ煙草から、一筋の白煙が上って行く。

「そりゃあ大人になったからな」

そう微笑む恭ちゃんの横顔は、恭ちゃん、なんて呼んでいいのか戸惑うくらい昔とは変わっていた。


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