甘い愛で縛りつけて


小川さんからパスを受けて、2歩ステップを踏んで、シュート。
スリーポイントなんて決められないけど、リング下からのシュートであれば結構な可能性で成功する事ができて、少しは力になれてホっとする。

ドリブルさえなければなんとかなるかもしれない。
そう思ったところで前半が終わって、気が付けば16点の差をつけて勝っていた。

「河合ちゃんすごいじゃん!」
「小川さんたちがゴール下で待ってるだけの私までドリブルで繋いでくれるからだよ。
私、シュートしかしてないもん」
「それにしたって、普通あんな連続でシュート決まらないって! 
あ、河合ちゃん、コレ飲んで」
「あ、ありがとう」

自分のペットボトルを渡してくれた小川さんに、受け取りながらお礼を言う。

「水分補給は大事だからねー。ほら、保健室前に貼ってあった保健だよりにも書いてあったし」
「保健だよりとかちゃんと見るんだ」
「前は見なかったけど、朝宮になったから」
「内容、どうだった?」
「分かりやすかったよ。保健体育の授業よりよっぽどタメになる感じ。
ただ、挿絵がへたくそだったけど。誰が書いたんだろ、アレ」

私だとは言えずに、そろっと目を逸らして苦笑いを浮かべる。


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