甘い愛で縛りつけて
恭ちゃんが作った保健だよりは文字ばかりで、挿絵でもいれれば~なんて軽い気持ちで言ったら、じゃあおまえが書けと返事をされて。
事務長に恭ちゃんを手伝えって言われているだけに、頼まれた事を断るわけにもいかず精一杯の力で書いたのは、ライオンとうさぎだった。
それを見て、恭ちゃんはこのライオンは絶対に狩りができないだとか、このうさぎは石でつまづくだとか。
バカにして散々笑った挙句、私の書いたイラストをそのまま載せて印刷をしてしまった。
理由を聞けば、へたくそなのも味だとか言っていたけれど、絶対に私を笑い者にするためだと思う。
大体イラストだったら図書室にそういう本があるだろうし、今はネット上にもフリー素材がたくさんあるのに。
苦手だって嫌がる私にわざわざ書かせる意味が分からない。
ああ、それが以前恭ちゃんが言っていた加虐心とかいう変態の趣向なんだろうか。
変な趣味に付き合わせるのはやめて欲しい。
「あーあ。でもこんな事なら一試合目から河合ちゃんに出てもらえばよかったー」
「それ、多分体力的に無理だよ。でも、このままいけばこの試合は勝てそうだしいいんじゃない?」
「だって、この試合勝ったって一試合目負けてるから引き分けだし。
まぁ、とりあえずバスケは引き分けに収めて、他の種目で一位狙うしかないか。総合成績で桜田負かせばいい事だし」
「熱いね、小川さん」
「熱くもなるっての。桜田の仮面を取るいいチャンスだし」