甘い愛で縛りつけて


無理……ってほどでもないけど。
でもあんまり長く放っておいてばい菌とか入ったら嫌だなぁ。
膿んじゃったりしたら絶対嫌なんだけど……。

色々思う事はあるものの、その場の雰囲気に何も言い出せなくて。


「河合ちゃんっ、勝ったよ!」

結局当たり前のように後半戦も出場。
そして、桜田先生のクラスを敗北させた。

小川さんと有坂さんが手を取って喜んでた。
ケガも痛いし、フル出場したおかげで足ももつれているけど。
生徒が喜んでくれたならそれでいいかと、ハイタッチを求めてくる小川さんと笑顔で手を合わせた。

まぁ、そんなこんなで悪い気分ではなかったけれど、だからといって傷が治るわけでもなく。
膝を気にしながら、まだ歓声の聞こえるグラウンドを後にして校舎に向かう。

痺れるように痛む膝に、肘。
それに、顎と頬の間の辺りも軽く擦りむいたみたいで、風が吹く度、ぴりぴりと痛んだ。
汗をかいたから余計にかもしれない。

こんな格好で保健室とか、できればいきたくないけど。
手持ちの絆創膏だけじゃ治療できそうもないし、とりあえずきちんと消毒もしたい。

そんな思いから、仕方なく、校舎に入って靴を履きかえてから、保健室に向かった。



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