甘い愛で縛りつけて
「そうだけど……」
「あれだけ言って信じないって、おまえ、どんだけ俺を軽い男だと思ってるんだよ」
「でも……だって、身体だけの関係の人がいるって……」
「確かにそういう女がいた時期もあるけど、それは大切だと思えるヤツがいなかったからできただけだって、こないだ言ったろ。
でも、あんま自慢できる付き合い方してこなかったのも事実だし、実紅が信じられないのも分かるけどな」
「違うの。信じないのは私が悪いんだよ。
でも、恭ちゃんが信じられないんじゃなくて、恭ちゃんがなんで私なんかをって思うだけで……。
恭ちゃん自身を信じてないわけじゃないの」
私の問題だと言うと、恭ちゃんは困り顔で微笑んだ。
「まぁ、実紅がランドセル背負ってる時から知ってるしな。考えにくいのは分かるけど」
「再会した時、私の事犬とか言ってたし……」
「昔はって話だろ。それに昔も、おまえの事は可愛いとは思ってたけど」
「え、犬だと思ってたのに?」
「ああ。あの頃は妹みたいな意味でだけどな。
それが再会して別の意味に変わったけど、大事にしてるのには変わりない」
そこまで言って微笑んだ恭ちゃんは、自嘲するみたいに笑みをこぼした。