甘い愛で縛りつけて


「今までひとりの女に執着した事なんかなかったのに、おまえだけは他の男に渡したくないと思った」

そう言った後、恭ちゃんがくしゃって頭をかく。
そして、顔をしかめて「俺にだってわかんねーよ。なんで実紅にだけこんな気持ちになるのか」と呟くみたいに言った。

頭が混乱して何も言えなくなった私を、恭ちゃんが見る。
しばらくじっと見てから、恭ちゃんは困り顔で微笑んだ。

「他に質問は?」
「え?」
「何を言えば、俺の事信じてくれる?」

ぎゅって締め付けられた胸が、そのまま解放されなくて息苦しい。
恭ちゃんの表情と言葉が、どこまでもどこまでも私を締め付ける。

私は、恭ちゃんの何を疑ってたんだろう。
本気かどうか分からないなんて、軽い気持ちかもしれない、なんて。
恋愛感情じゃない、なんて。

もう、そんなのどうでもいいじゃない。
恭ちゃんがここまでして伝えてくれてるんだから。

勝手に浮かんできた涙が、視界にヴェールをかける。
その向こうで、恭ちゃんが私を見つめていた。


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