甘い愛で縛りつけて


せっかく伝えられそうだったのにとも思うけれど、ここは校内だ。

密室ではあるけど、生徒も教師もいつでも入ってこられるこの場所で告白なんて危なすぎる。
それに、モラル的にもありえない。

……何度もここでキスしておいて、本当に今更だけど。
っていうか、私もだけど、恭ちゃんももっと時と場所を考えるべき―――。

そんな事を思っていた時、突然恭ちゃんの香りに包まれた。

「……実紅」

後ろから抱き締められて、耳元で名前を呼ばれる。
恭ちゃんの甘く低い声に、ぞくぞくした感覚が背中を走って、顔に一気に熱がこもる。

今までは、こんな風に抱き締められても戸惑ったり困惑したりしてた。

けど、気持ちに気づいてしまった今、私が感じるのは。
嬉しさと、尋常じゃないドキドキ……。

「実紅」
「な、なに……?」

もう一度呼ばれて、震える声で返事をする。
保健室の開けられたままの窓からは、校庭で行われている球技大会の歓声がわずかに聞こえていた。

風に乗ってくるその声を、私の心臓の音がかき消す。


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