甘い愛で縛りつけて
桜田先生は、にっこり微笑んで「どうしようかしら」と首を傾げる。
「調べて分かったんだけど、朝宮先生って高学歴なのね。国立の大学をいい成績で出て、お父様も地位のある方みたいだし。
もしも、河合さんとの噂が流れでもしたら、せっかくの成績に汚点がついちゃうかもしれないわね」
「汚点って……そんな言い方……」
「でもそうでしょう?」
強く言い切られて、言い返す言葉が見つからない。
何か術がないかと探すけど、混乱している頭じゃいい方法なんて見つけ出せなくて……。
ただ黙って、床に視線を落とす。
そんな私を桜田先生は小さく笑って、条件を突きつけた。
残酷な条件を。
「いいわよ。そこまで朝宮先生が心配なら黙っててあげる。
ただし、河合さんが朝宮先生の気持ちを受け入れないならね」
「……え」
「さっきのやりとりを聞く分には、河合さんは朝宮先生に気持ちを伝えてはいないんでしょう?」
「……はい」
頭の中が、真っ白になる。