甘い愛で縛りつけて
「河合さんが朝宮先生の気持ちを拒否すれば、それはなかった事になるし誰にも言わないわ。
本当だったら校内でキスやそれ以上の行為をするなんて、それだけで処分されるべきなんでしょうけど……。
私、彼すごく気に入ってるから見逃すわ。それでどう?」
何も言えないでいる私に、桜田先生が続ける。
「ああ、証拠がないだなんて言わないでね。
実は、河合さんが保健室に入った時からずっと、ケータイで撮ってたの。もちろん、動画でね。
あんな事してる動画をネットにでも流したらすごい勢いで広まるんでしょうね」
混乱する頭の中に、桜田先生がやけに保健室に行った方がいいって言っていた事が思い出される。
もしかしたら、目的は試合に勝つ事なんかじゃなく、わざとケガをさせて保健室で恭ちゃんと私をふたりきりにする事だったのかもしれない。
そしてそこで決定的証拠を掴むため……。
恭ちゃんを、自分のモノにする事が、桜田先生の目的だったんだ。
「本気ですか……?」
「もちろん。なんだか私がいじめてるみたいに感じるかもしれないけど、私の方が正しいのよ。いけない事をしているのは朝宮先生と河合さんなんだから、そこを間違えないで。
私は譲歩して、交換条件を提示してあげてるんだからね?
ひとつの恋を諦めれば見逃してもらえるなんて、いい条件でしょう?」