甘い愛で縛りつけて
桜田先生が、確認するように言う。
それでも答えられずにいると「条件、のむわよね?」と促されて……床に視線を落としたままゆっくりと口を開いた。
「ありがとう、ございます……」
選択肢なんて、他にはなかった。
今の状況で精一杯頭を動かしたけど、桜田先生の言っている事に抜け目なんて見つけられなかった。
でも、桜田先生だって結局恭ちゃんが目当てなんじゃない。
私はダメで桜田先生だったら許されるの?
校内で不純異性交遊なんて言うけど、桜田先生がそれをしないって保証はない。
今までの桜田先生の行動を見る限り、チャンスがあればきっと恭ちゃんに――。
ぎりって歯を食いしばる。
こんな脅しに乗りたくない。
けど、さっきのキスを撮られてる限り、言い逃れできない。
恭ちゃんを守る選択肢は……他にはない。
「どういたしまして」
桜田先生がにこっと笑う。
外から聞こえてくる歓声が、すごく遠く聞こえた。