甘い愛で縛りつけて


これからどうすればいいんだろう。

恭ちゃんを避けながら恭ちゃんと同じ校舎内で過ごすなんて無理だ。
いずれ、嘘をついて恭ちゃんを拒絶しなくちゃいけなくなる。

だったら早い方がいい。
そう思うけれど、さっき恭ちゃんと話した時の事を思い出すと、とてもじゃないけどうまく嘘をつけるとは思えなかった。

じゃあどうすれば――。
直接嫌いなんて言える自信がなくて、他の方法を考えようとしていた時、背中に違和感を感じた。

やけにぴったり身体をつけられてる気がして一歩前に身体をずらしたけれど、後ろの人も同じようにずらしてまた身体がくっつく。

しばらくそのまま動かずにいると、ぴったりとくっついていた人が少し離れる。
だから、たまたまくっついちゃっただけなのかなと思って胸を撫で下ろしたのも束の間、お尻を撫でられて身体を強張らせた。

痴漢……?
そんな言葉が頭をよぎる。

だけど……もしかしたらわざとじゃないかもしれないし。
そう思って様子を見ていたけれど、電車が揺れても離れる事なく私の身体を触っているから、痴漢だって事を確信した。

気付いてしまった途端に、恐怖で目の前が真っ白になった。
今までも毎日電車通勤をしてきたけど、遭った事がないからどうすればいいのか分からない。


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