甘い愛で縛りつけて


その気遣いが嬉しくて、キスをする恭ちゃんの胸を少し押してもういいからとお願いすると。
恭ちゃんはツラそうに、俺ももう限界だと微笑んだ。

「キスで気紛らわしてたけど、もう無理」

なんだ、私のためじゃなかったのかとガッカリもしたけれど。
それ以上に、余裕そうな顔してたくせに我慢してたのかと思うと、嬉しさがこみ上げてきた。

私に欲情してくれているのが嬉しくて、ひとつになれた事が嬉しくて、また涙がこみ上げてくる。

今までの恋人としてきた行為とはまったく違う事をしているみたいだった。
執拗ではあるけれど内容はほとんど変わらないのに、ひとつひとつが嬉しくてひとつひとつに気持ちを感じて。

本当にひとつに溶け合っちゃうんじゃないかってくらいに夢中だった。

私はもうきっと、恭ちゃんなしでは生きていけない。
おおげさじゃなくそう思うくらいに恭ちゃんを好きだと思った。

顔立ちも、身体も、体温も、強引な態度も、隠した優しさも。
意地悪な笑みも、からかう声も、時々伏せる瞳も。


恭ちゃん全部が好きで好きで仕方ない。




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