甘い愛で縛りつけて
◇「彼が一番危うく見えたんだ」
「身体、大丈夫か?」
心臓がいつものペースで鼓動を刻みだしたところを見計らったようなタイミングで、恭ちゃんが聞いた。
「ん……多分」
まだ頭は半分くらい溶けてるし、寝たままだから身体のどこかがおかしくても分からないけれど、とりあえず頷く。
筋肉痛だとか腰が抜けてるだとか、身体に何かしらの支障が生じていたにしても、それは私の問題であって恭ちゃんのせいじゃないから。
恭ちゃんは本当に優しく触ってくれたし、大事に扱ってくれた。
こっちがもういいって根をあげるくらい、丁寧に……しつこく。
ふたりで並んで横になっていると、恭ちゃんの吐息がおでこにあたってくすぐったい。
視線を落とすと、全開になったYシャツから覗く胸板が見えて、顔に熱がこもる。
する事をしておいてこんな事ぐらいでって感じかもしれないけれど、行為中は恭ちゃんの身体を見る余裕なんてなかったから、ちゃんと見るのは今が初めてで。
思わず凝視してしまった私に気づいたのか、恭ちゃんが笑う。
「興味あるのか? 男の身体に」
「変な言い方しないでよ。結構筋肉あるんだなって思って見てただけ」
「着やせするみたいだからな、俺」
「……そう誰かに言われたの? 遊んでたって言ってたし、今まで色んな女の人に身体触らせたんだよね」