甘い愛で縛りつけて
「俺はいくら昔の事だからって、実紅が他の男と関係持ったのが気に入らないし、見つけたらボコボコにしてやりたい気持ちでいっぱいだけど」
「……それ、普通に傷害事件だからね」
冗談かと思って苦笑いしながら返すと、恭ちゃんが続ける。
「俺に傷害事件起こされたくなければ、実紅は絶対に俺以外とこんなとこ入るなよ」
「うん」
「先に言っておくけど、俺、浮気だとかはどんな事情があっても許さない性質だから」
「うん。私もそうだし、浮気なんかしな……」
「他の男ともしもなんかあったら実紅を監禁するかもしれないし、多分俺、正気なくすから覚えとけ」
「……恭ちゃんって、結構嫉妬深い? 今まで関係持った人にもそんなだったの?」
深いとしてもかなり深そうだ。海だったら深海レベルだ。
傷害事件だとか監禁だとか正気をなくすだとか、色々物騒な事を言う恭ちゃんに呆れて笑いながら聞く。
恭ちゃんは眉を潜めて私を見つめていた。
「相手がおまえだからに決まってんだろ。実紅は特別だって何回言わすんだよ。
俺がおまえにベタ惚れな事くらい、おまえが一番よく分かってんだろ」
まるで怒ってるみたいな口調で言われたのに、嬉しさが込み上げてきて何も言えなくなってしまった。
恭ちゃんの嫉妬心が深海レベルだとしたら。
私の恭ちゃんを想う気持ちはきっと、海底すら突き破ると思う。
それくらい、恭ちゃんが好きだ。