甘い愛で縛りつけて
事務長が本当に恭ちゃんの仮面に気付いているのか、ハッキリとした証拠もないけれど……。
私もそんな気がするのは、やっぱり事務長のなんでも見透かしているような瞳のせいだろうか。
事務長の目は、心の中にある感情まで読み取っているようなそんな気がしてやまない。
「だけど、そんな彼が河合さんを見る時だけ雰囲気を柔らかくする事にすぐ気づいたよ。
彼に聞いたら、昔から知っているからだって誤魔化されたけどね。私にはそれだけとは思えなかった。
本人は気づいていないかもしれないけど、本当に大切そうにキミを見ているから」
今までだったら、そんな事ないって答えてたところだったけれど。
昨日の事を思い出すと、事務長の言葉を否定する事はできなかった。
なんでかは分からないけど、恭ちゃんは本心から私を特別だって思ってくれてる。
それを昨日、身を持って知れて嬉しかった半面……強い独占欲に少しの疑問を感じた。
恭ちゃんが、何かを怖がっているように思えたから。
「実際、彼は何に対してもクールな態度を貫いていたしそれが彼の自然なスタイルなのかとずっと思っていたから、昨日焦ってきみを追いかけていった姿には驚いたよ。
あんな朝宮くんは見た事がなかったから」
「事務長は……私が朝宮先生の危うさを救えると考えてるんでしょうか」
だから、傍にいて手伝えなんて事を言い出したのかを聞くと、にっこりと微笑まれる。