甘い愛で縛りつけて
「単刀直入に話させて頂きますと、毎週のように僕の留守を狙って保健室を使用するのはやめて欲しいんです」
え……と小さな声をもらして息を飲んだ桜田先生に恭ちゃんが笑顔のまま続ける。
「気付いてないとでも思ってましたか?
僕は神経質なので、自分が出て行った後、部屋を誰かが使ったりするとすぐ分かるんですよ。毎週の木曜日放課後だっていうのは分かってたので、実は先月の半ばあたりから録音機を使って調べてたんです」
「録音……?」
「外部からの侵入者だったりしたら僕だけじゃなく学校の問題になるので、念のためと思いまして。
……顔色がよくないですが大丈夫ですか? 気分が悪かったらベッドに横になってもいいですよ。少しマットが固いですが、毎週使っているようですし、もう慣れたでしょう?」
言っている事は完全に嫌味だとか皮肉の類だけど、顔だけは爽やかな笑みを浮かべていてそのギャップが怖かった。
桜田先生も同じように感じているのか、それとも話の内容になのか、恭ちゃんが指摘するように真っ青になっていた。
「録音って……あの、ずっとですか……?」
「あ、聞きますか? これ、そんなに高いモノじゃないんですけど品質はいいみたいで結構いい音で撮れて……」
「違うんですっ! あの……実は生徒から相談を受けていて、その、かなり落ち込んでいるようだったので、それで……」
「経緯はどうでもいいんですよ、桜田先生。今先生が言った事が嘘でも本当でも僕には何の関係もありませんし、どうでもいい事です」