甘い愛で縛りつけて
恭ちゃんにどうでもいいと言われた事が余程ショックだったのか、桜田先生は呆然としてしまっていた。
自分がクビになるかもしれないって証拠を握られているのに恭ちゃんの一言にそこまでショックを受けるなんて……もしかしたら桜田先生も本気で恭ちゃんが好きだったのだろうか。
そうも思ったけれど、週替わりで色んな男の人と関係を持っているのを知った以上、同情はできなかった。
多分元々の恋愛観が私とは違いすぎるんだ。
「で、どうしますか、これ」
恭ちゃんに聞かれて、桜田先生は少し黙った後、すがるような表情で恭ちゃんを見つめた。
「内密にして頂けないでしょうか……。生徒の将来の事もありますし……」
「生徒の将来? ご自身の立場ではなくて?
まぁいいです。内密にする事ももちろんできますよ。桜田先生の誠意次第ですが」
「あ……っ、朝宮先生と河合さんの事だったら誰にも言いません!」
「それはもちろんですが、証拠に撮った写真等も出してもらえますか? あと、他にも保存したならその媒体も」
桜田先生は顔をしかめてから目を伏せる。
「写真には撮ってません……」
「でも実紅を証拠があるって言って脅したんでしょう?」
「嘘です……。見てたのは本当ですけど……撮れなかったんです」
桜田先生の言葉に、恭ちゃんはそうでしょうねと笑った。