甘い愛で縛りつけて
「本来なら、あなたが謝ったところで許したくなんかないんですけどね。今までのあなたの行動のせいで実紅は何度も泣いたみたいですし」
急に視線を移されて、肩がすくんでしまった。
そんな私を見て恭ちゃんは微笑んで、また視線を桜田先生に戻す。
「まぁ事を荒立てても仕方ないので今回の事はお互い黙っているという事で手を打ちます。
でも忘れないでくださいね。僕がこれを持っている事を」
「はい……」
「僕は自分にとって大事なものを守るためならどんな非道な事でも平気でできるので、それも承知しておいてください」
「そういう血筋を引いてるので」と言った恭ちゃんが少し黙る。
血筋ってどういう事だろう。両親が嫉妬深いだとかそういう事だろうか。
そんな風に思いながら見つめている先で、わずかに俯いていた恭ちゃんが顔をあげて桜田先生を見た。
「言うまでもなく、もう今後実紅や僕に仕事以外で話しかける事すらないとは思いますが」
最後に釘を刺すようにそう言ってから、恭ちゃんが微笑む。
その笑顔が真っ黒に見えた。