甘い愛で縛りつけて
私だって、恋愛に対して無知じゃない。21年間、それなりに恋愛だってしてきた。
だから、ホテルにふたりきりって時点で、自分が置かれてる状況くらい分かってる。
でも、それは相手が普通の男だった場合の話。
相手が恭ちゃんじゃなかったら、の話だ。
「でも恭ちゃん、私を妹みたいにしか思ってないでしょ?」
こんな事を、初恋の人相手に自分で言うのもどうかと思うし言ってて悲しくなるけど。
何とも思われてない自信があった。
だって、恭ちゃんを好きになった時、私はまだ小学校三年生だった。
当時は、恭ちゃんがただ好きでいつも追い回していて、恭ちゃんもそれを優しく受け止めてくれていたから、もしかして、とか思った事もあったけど。
今考えると、恭ちゃんが私を迷惑がらなかったのは、決して恋愛感情からなんかじゃないって言い切れる。
だって、赤いランドセル背負った子に追いかけられて、恭ちゃんがその気になるハズがないんだ。
それなのに、当時の私はそれに気づかずに、中学二年になるまで六年間も恭ちゃんを追い回して。
恭ちゃんが引っ越しするって聞いた時には、思い返すのも恥ずかしいくらい号泣したりして。
穴があったら入りたいっていうのは、こういう気持ちだって痛感する。
恭ちゃんは、懐いた私を多分、犬とかそんな感じで可愛がってくれていただけなんだから。