甘い愛で縛りつけて
「イケメンって事?!」
「そう。イケメンっていうか……美形って感じだけど」
「へぇー……。恭介くん、近々うちに遊びにこないかしら。お母さんも久しぶりに会いたいわー。イケメンになった恭介くんに」
「あ、だから、さっき送ってもらった時に寄ればって言ったんだけど、手土産もないし寄れないって言われて」
「そんなの気にしなくていいのに……」
「それも言ったけど、そういうわけにはいかないからって」
「あの子は前から気の利く子だったから、そういうところは変わらないのね。
元気なの? 恭介くん……」
急にトーンを落としたお母さんを不思議に思いながら頷く。
「元気だよ。でも……なんかたまにおかしい感じもするけど。塞ぎこんでるっていうか……変な感じ」
私の答えに、そう、とだけ呟いたお母さんは、やっぱり少しおかしいように思えて。
「ねぇ、恭ちゃんってなんで引っ越したの?」
もしかしたら何か知っているんじゃないかと思って聞くと、お母さんは少し困った顔をしてから目を伏せた。
「まぁ、実紅ももう大きくなったし、昔の事だから教えてもいいかもしれないわね」
「そんな重大な話なの?」
「そういうわけでもないんだけど、子どもには聞かせたくなかったのよ」
そもそも、なんで恭介くんのお母さんがいないのかを知ってる?と聞かれて、首を振る。
お母さんはテーブルに頬杖をつきながら話を始めた。