甘い愛で縛りつけて

『同情をかける人もいたし、蔑む人もいたし……色んな目で見られながらも恭介くんはいつも穏やかな顔で人形みたいに笑ってた』

言われて思い出した。
恭ちゃんに向けられていた、大人たちの視線を。

気にも留めてなかった視線の束。
子どもの頃は、きっと恭ちゃんもそうだって思って疑わなかったけど……恭ちゃんはきっと違った。

『周りが俺をどんな目で見てんのか、父親が何を望んでんのか……。
その頃にはもう分かりきってたし』

気にしながらも、気になりながらも、お父さんが望む通りにして。
傷つきながらも気にしないふりをして、必死に微笑んでたんだ。

周りの大人がどんな目で自分を見てるか分かってながら、恭ちゃんはそれでも笑って。
お父さんがどんな人か分かりながらも、望まれるままに演じて……本当の自分は置き去りにした。

そうしなくちゃ生きていけなかったんだから仕方ない。
だって、恭ちゃんを一番に守らなくちゃいけない人たちまで、本当の恭ちゃんを押し殺したんだから。

恭ちゃん本人でさえ、そうしなくちゃいけなくなるくらいに。

恭ちゃんは……ずっとひとりで泣いてきたの？


そう思うと、堪らない気持ちでどうにかなりそうだった。