甘い愛で縛りつけて
恭ちゃんは散らかってるとか言っていたけど、散らかりようがないと思う。
散らかる物自体がないんだから。
1LDKの部屋のほとんどが空きスペースのせいで、部屋にある唯一の膨張色である白いベッドがやけに目立っていた。
でも、実際にもシングル以上の大きさはありそうだ。
「あー、分かった。おまえ、アレだろ。俺が他に女連れ込んでないか心配で急に来たんだろ。俺を信用してないから」
「そういうんじゃないよ」
「嘘つけ。じゃなきゃこんな朝早くくる必要ないだろ。
住所から地図調べてきたのか? 電話よこせば迎えにいってやったのに」
「でも、私が来てみたかっただけだから。恭ちゃんの部屋に」
恭ちゃんは不思議そうに、ふーんと呟いてから、まぁ座れと命令する。
ベッドに座る恭ちゃんの横に座ると布団がふかふかで、保健室のそれとは違う弾力に少し違和感を覚えた。
「どこが散らかってるの? 社交辞令で言っただけ?」
部屋を見渡しても散らかってるモノなんて見当たらない。
ベッド以外にある家具といえば、大きめのパソコンデスクと、キッチン前のカウンターテーブル傍に置いてある椅子くらいだ。
テレビは、それようにくりぬかれた壁部分に、レコーダーと一緒に置かれていた。
ロフトがあるから、そこを物置代わりにしてるからそのせいだろって恭ちゃんは言うけど、それにしたって物が少ない。