甘い愛で縛りつけて
「なんで俺が冷徹なんだよ」
「桜田先生への態度とかすごく冷たかったじゃない。それにいつも余裕に構えてて冷静だし」
「それを冷徹っていうのは違うだろ。
まぁでも、自分にとって大事でもなんでもないヤツは基本どうでもいいし、それを冷めてるっていうならそうかもしれないけど」
「ほら」
「でも誰だってそうだろ。大切にする人間なんて限られてるし、その他のヤツなんか構ってる暇ないし構うだけ無駄。
俺が特に他人に興味がないから冷めて見えるってだけで、結局はみんな同じだと思うけど」
他人に興味がないのに、私の事は想ってくれてるっていうのを言葉の裏側に勝手に感じてしまって、胸が跳ねる。
うぬぼれた気持ちを見破られないように、平静を装って会話を続けた。
「だけど、それは極論だよ。
普通はそんな風に思ってても、色んな関わり合いとかしがらみがあって、どうでもいいと思いながらもそうはできないし」
「そ、極論。でも本能って極論だろ。人間から邪魔な感情取り除いたら残るのはそれだし」
「どういう意味?」
「人間が行動を起こす理由はどんな理由つけても結局はそこだって話。食わなきゃ生きていけないから食って、働かなきゃ食えないから働いて。
元を辿ればすげー単純な事だろ」
「それは……そうかもしれないけど……」
「追い詰められて最後に守るのは自分だろ。人間を動かしてんのは極論だ。生活にしろ、犯罪にしろ」
「でも……そんなの悲しいよ」