甘い愛で縛りつけて
「んぅっ……、や……っ」
入り込んできた舌に驚いて、さっきみたいに恭ちゃんを押すのに。
今度は、押しどける事ができなかった。
私の後頭部に回した手で抱き寄せるように固定されて、顔を逸らす事さえできない。
咥内を丁寧になぞる恭ちゃんの舌に、本当だったら嫌悪感を感じなくちゃいけないのに……。
そんな感情すら感じさせない巧みなキスに、抵抗しようとする気持ちが奪われていく。
私の抵抗が弱まったのに気づいたからか。
キスを続けながら、恭ちゃんがふって笑ったのが唇の動きで分かった。
「……ん、っ……」
恭ちゃんの香りや、妖美な雰囲気に、つい溺れそうになる。
ずっと浸っていたくなる。
そんなキスだった。
キスされた時は、“なにすんの?!”って殴ってやりたい気分だったのに。
恭ちゃんがこれでもかってほど長い時間キスするから、じょじょにそんな怒りは消えていって、しまいにはどちらが望んでいる事なのかさえ分からなくなってしまう。
そして、じっくりと時間をかけたキスをした恭ちゃんが離れた時には、何も考えられないどころか、身体から力が抜けていて。
思わず、トロンってした頭のままはぁって小さな息を吐くと、それを恭ちゃんが笑う。