甘い愛で縛りつけて
「恭ちゃんじゃなかったら誰のせいなの?」
「誘った実紅のせい」
「誘ってないよっ! 最初は……その、私も悪かったかもしれないけど、途中からは完全に勝手に恭ちゃんが盛り上がってたんじゃない! ドS! 変態っ!」
「あー、もう分かった分かった。悪かったって」
言葉ではそう謝っているけれど、恭ちゃんの顔は笑みを浮かべている。
しかも嬉しそうな笑みを。
反省なんかしているようには見えない恭ちゃんに顔をしかめた。
「……なんか嬉しそう」
今回の事に限っては別に反省しろとは言わないけれど、それにしたって嬉しそうだ。
毛布の中から指摘すると、恭ちゃんは微笑んだまま私の頭に手を伸ばす。
そして、髪をかきあげるように撫でながら答えた。
「嬉しいよ。実紅には悪いけど」
「……いっぱいできたから?」
「まぁ……それも否定しないけど」
「他の理由は何?」
聞くと、恭ちゃんはふっと笑う。
その顔からは、数時間前に浮かべていた、あのひどく胸が痛むような悲しい表情は消えていて安心する。
「実紅がそんなんになってるから」
「……分かるように言って」
「実紅をそんな状態にしたのが俺だって事が嬉しいんだよ。
目に涙いっぱい溜めながらも俺の事必死に受け入れて、感じて動けないくらいへろへろになって……」
「ちょ……ストップ! 変な事言わないで!」
真っ赤になって毛布に顔を埋めた私を、恭ちゃんがまたしても満足そうに笑って見つめる。