甘い愛で縛りつけて
「引っ越しておまえとは別の場所で暮らして、何の不満もなかったけど、やっぱりおまえの事は常に頭の中にあった。
おまえ、すぐ泣くヤツだったから心配したりしてた」
恭ちゃんの手が髪を撫でる。
隠さない気持ちをそのまま言葉にする恭ちゃんに、胸がトクトクと速いテンポを刻んでいた。
「赴任先が実紅の住む家のすぐ近くだって事はすぐ気づいたけど、まさかその学校で働いてるとは思わなかったから、歓迎会で実紅を見つけた時すげー驚いた。
隣に座ってる男に困りながらもどうにもできなくて作り笑顔を浮かべてる実紅見て、やたらイラついてる自分に気づいて……多分、そん時初めて恋愛感情を持ったんだろうな」
「……だって、田口さんがしつこかったから」
「そういうのを断りきれないところも変わってなくて、やっぱり俺が傍にいてやりたいと思ったんだよ。
ずっと大切ではあったけど、踏み出せなかった関係がやっとその時名前を持ったんだ。
……まぁ、周りに言われ続けてたロリコンって言葉が常に頭にあったせいで踏み出せなかったのもあるけどな」
ロリコン疑惑に関しては完全に私のせいだから、ごめんね若くてと謝ると、苦笑いと痛くないでこピンが返された。
「俺はそれまで確かに色んな女と関係を持ったりはしたけど、あの歓迎会の時が初めてだった。
嫉妬だとかを感じてイライラしたのは」
「歓迎会の時って……田口さんと普通に話してただけだよね? それだけでやきもち焼いてたの?」