甘い愛で縛りつけて
私も人の事言えないし、恭ちゃんが他の人と仲良さそうに話しているだけで嫌だけど。
私自身が田口さんに消しゴムのカスほどの好意も持ってないだけに、意外に思えた。
私はすぐ顔に出るから、多分田口さん相手に話してる時はかなり嫌そうな顔してると思うのに。
「おまえが田口を何とも思ってないのは見てすぐ分かったけど、それでも気に入らなかった。
元々大事に思ってきたおまえの存在が恋愛対象になって……一気に独占欲が出たんだろうな。
誰にも渡したくないと思った」
胸がドキドキしっぱなしで、返す言葉が見つからない。
まるで長い長い告白みたいに聞こえてしまって、逸る鼓動が収まらない。
「本当は徐々に近づくつもりだった。おまえにも俺を意識させてじわじわ追い詰めて貶める予定でいたんだけど」
「……追い詰めて貶めるって、好きな人に使う言葉じゃないと思うんだけど。
完全に罠じゃない」
「罠だろ。おまえを手に入れようとしてんだから、罠張るしかねーだろ」
「そんな事しなくたって、素直に告白とか……っ」
「それらしい事言っても、おまえ聞く耳持たずだったろ。大体、ホテル連れ込んでキスした時点で普通気づくだろ」
「気付かないよ! 酔ってるからって平気でホテルに連れ込める遊び人だって印象付けられただけだったし」
「だから、最初の印象からして間違ってんだよ、おまえの場合。
それにあれは介抱だろ」