甘い愛で縛りつけて


「キスしただけなのに、そんなに気持ちよかったか?」

まさかそれを見られていて指摘されるなんて思っていなかったから、焦って恭ちゃんを睨みつける。
違うって言い返してやりたかったけど……。
自然に出てしまった吐息に気づかれた以上、何を言っても無駄な気がしてやめる。

だって、あんな吐息、感じてましたって言ってるようなものだから。
……それに、悔しいけど、そう感じていたのは事実だ。

完全にタイミングを失って言えなくなった文句が悔しい。
怒鳴ってやりたかったのに。

「恭ちゃん、やっぱり変わった」

挑発するよな笑みで見つめてくる恭ちゃんに耐えきれなくなって、ぷいって顔をそむけながら悔し紛れに言う。

「昔は、こんな事絶対にしなかった」
「昔の実紅にこんな事してたら完全にアウトだろ。
さすがにランドセル背負ったガキにはその手の興味も湧かないだろ、普通。俺、そういう趣味ねーし」
「そういう意味じゃなくて! 昔の恭ちゃんは、こんなキスできそうもなかったって事。
真面目で、誠実で。今みたいにいやらしくなかった」
「昔……か」


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