甘い愛で縛りつけて


頷きながら恭ちゃんの隣に腰を下ろして、恭ちゃんを見つめる。

少し長めの茶色い髪。深い感情を秘めた瞳。薄い唇。骨張った手に、筋肉のついた身体。

恭ちゃんは私よりも大きいのに、なんで時々力なく見えるんだろう。
こんなにも守ってあげたくなるんだろう。

どう考えたって今まで守られていたのも、甘えていたのも私の方だ。
なのに、無性に恭ちゃんを抱き締めてあげたくなる時がある。
大丈夫だからって、何度も頭を撫でてあげたくなる。

私の見つめる先で、恭ちゃんは手の甲で額から目元にかけてを覆う。

まるで、私の視線から逃げるように。
そして……。

「おまえは、裏切ったりした自分が許せないから、好きにしていいって言ったけど。
もし……もしも俺がおまえに何かしたら、俺も自分が許せない」

一拍開けて、恭ちゃんが続けた。

「だから、俺が何か暴走しそうになったら、おまえは俺から離れろ」

一瞬、身体の全機能が停止した気がした。

真っ白に染まった頭は思考回路を失って、当然身体も指一本動かせなかった。
だけど、次の瞬間には動揺からか心臓がドクンドクンと騒ぎ出して、それにハっとして我に返る。





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