甘い愛で縛りつけて
恭ちゃんが言っているのはきっと、その部分が見えそうになったら逃げろって事だと思う。
狂気的な感情に自分が囚われそうになったら、離れろって、そういう意味で……。
そしてそれは、私を守るためなんだと思う。
私を望んでくれてるのに、それでも私を守るために恭ちゃんが下してくれたツラい決断なら、私はそれを受け入れるべきなのかもしれない。
だけど……。
「嫌だよ。恭ちゃんが望んだって、嫌……」
「俺、自分が思ってる以上に……実紅が思ってる以上に、我慢だとかできない性質なんだ。
おまえの事は殊更……さっきみたいに他の男と笑って話してるだけでキレそうになるし、実紅を連れ去りたくなる」
恭ちゃんが穏やかな声で言う。
自分の感情の揺れを、客観的に観察するように、冷静で落ち着いた声だった。
まるで、感情を閉じ込めたみたいな、そんな声だ。
「私だって、恭ちゃんが他の子と楽しそうに話してたら嫌だよ。
嫌だって思うのは、普通の感情だよ」
「普通じゃねーよ。自分の事はよく分かってる。
おまえのやきもちと俺の嫉妬じゃ、全然違う」
「そんなの……」
「頼むから……実紅」