甘い愛で縛りつけて
振り向くよりも先に、ぐいぐい引っ張って部屋の中に入れられてベッドに座らせられる。
キッチンに向かった恭ちゃんは、ビニール袋にたくさんの氷を詰め込んでそれをタオルで包んでから私の前に戻ってきて。
少し乱暴に頭にそれを押し付けられた。
「痛いか?」
「……痛くない」
「嘘つけ。これ絶対こぶになるからな」
「分かってるよ。別に頭だし目立たないから大丈夫。
私は眼鏡もかけてないし、壊れなかったし」
それが何を意味するのか恭ちゃんには伝わったようで、少し驚いた顔を返された。
「気付いてたのか……」
「恭ちゃんが、わざわざ眼鏡外してから玄関に行ったからそれで気づいた。
眼鏡が変わってた日、左の頬が腫れてたのを思い出したから」
「意外と洞察力も記憶力もあるんだな」
「恭ちゃんが何も話してくれないから、よく見るしかないじゃない」
そう言ってからチラっと見上げると、恭ちゃんは顔をわずかにしかめてから、私が何も話してくれないと非難したせいか、部屋に呼ばない理由を説明してくれる。