甘い愛で縛りつけて


「父親はまだ母親を探してる。
で、俺のとこに母親がくるかもしれないって部下にだか誰にだか知らないけど、俺の周りを張らせてるんだよ。
だから、おまえと休みの日出かけたり家に呼んだりしたら父親に報告がいって、おまえまで巻き込む事になるから嫌だったんだ」
「そうだったんだ……。あ、帽子かぶってたからお母さんかもしれないって思われたのかな」
「どっちみち、あいつは顔見るまでは納得しないからここに来てただろうけどな」

じっと見ていると、気持ちが悪くないか聞かれる。

「大丈夫」
「おまえ、今日は夜までここにいろよな。
少しでもおかしいってなったらすぐ病院行くからそのつもりでいろ。
誤魔化そうなんて考えても俺はおまえの嘘ならすぐ見破れる事も忘れるな」

お説教みたいに言う恭ちゃんに思わず笑ってしまうと、睨まれる。

「だって恭ちゃんが過保護だから」
「当たり前だろ。頭殴られてるんだからそうもなる。
……なんで飛び出してきたんだよ。
俺だったらあいつに殴られんのは慣れてるし、おまえがかばってくれなくても……」
「慣れてるなんて、言わないで」

見上げながら言う。


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