甘い愛で縛りつけて
じっと見つめながらそんな疑問を浮かべた時。
恭ちゃんの瞳が私をとらえた。
ドキっとして肩を揺らした私を見て、恭ちゃんが明るく笑う。
さっきの切ない表情を隠すように。
「実紅は昔の“恭ちゃん”が好きだったんだもんな。結婚したくなるくらい」
「そんなの昔の話でしょ。小学生の時の話なんか持ち出さないでよ」
「ひどい事言うな、おまえ。
俺、実紅がそんな事言うから、律儀に彼女は作ってこなかったのに」
「え……」
驚いて恭ちゃんを見てから、その表情にハっとする。
危ない。一瞬信じちゃったけど、そんなわけない。
現に、恭ちゃんはからかうみたいな笑みを浮かべて私を見てるし、その表情が嘘だって物語ってる。
「変な嘘つかないでよ。今まで誰とも付き合ってこなかったなんてありえない。
恭ちゃん、遊びなれてそうだもん」
「なんで実紅にそんな事が分かるんだよ。六年ぶりなのに」
「そんなの外見で分かる。恭ちゃんが昔と変わったのは、誰か他の人の目を意識したからとか、そういうのがきっかけなんでしょ?」
「まぁ、ハズレではないけど」
「その……今の恭ちゃん、多分カッコいいし、キスだって……その、うまかっ、慣れてたし!」