甘い愛で縛りつけて
「ここ、校門ですよ。部活が終わった生徒もまだ残っているでしょうし、先生方だって残ってます。
こんなところで私に何かしたら目を引きますよ」
声の震えを抑えながら言うと、田口さんは笑みを浮かべたまま答える。
一歩一歩近づかれて、私も後退するほかなかった。
私の後ろにあるのは……職員用駐車場。
田口さんが車できているのは知っていたからマズイと思ったけれど、近づいてくる田口さんを前に後ろに下がるしかなくて。
校門と比べて人気の少ない駐車場にどんどん追いやられていく。
「そうですね。なので誰にも見られないうちに河合さんを車に乗せようかと思いまして。
ああ、後ろの職員用駐車場の一番手前にあるのが僕の車です」
言われて、チラっと後ろを確認した瞬間だった。
私が目を逸らした間に一気に近づいた田口さんに腕を掴まれる。
そのまま抱き締める田口さんに、力いっぱい抵抗した。
「やめて……っ!」
「最初はみんなそう言いますけど、ホテル入って30分もすればみんな僕の事を欲しがりますから、河合さんも安心して大丈夫です。
痛い思いはさせませんから」
もしかしたら朝宮先生よりうまいかもしれませんね、と笑う田口さんに吐き気すら感じる。
匂いも感覚も、抱き締め方も。
全部が恭ちゃんと違っていて、ひどい嫌悪感を感じた。