甘い愛で縛りつけて
カッコいいとかキスがうまいとか。
そんな事を言っちゃった照れ隠しで「遊んでないわけないでしょ!」と口調が強くなってしまう。
自分で言ったくせに自分で照れて、しまいには逆ギレした私を気にするでもなく、恭ちゃんは落ち着いたトーンで「まぁ遊んでた事は否定しないけど」と答えた。
浮かべているのは、余裕のある微笑みで、それがまた悔しい。
なんか、こんなのは考えすぎなんだろうけど、恋愛の経験値の差が今の態度にあからさまに表れている気がして嫌だ。
私なんか照れてキレての大忙しなのに、恭ちゃんは落ち着きを払っちゃってるし。
「ほら。遊んでたんじゃない。色んな人と付き合ったりしてたんでしょ」
「大人の関係の付き合いならな。実紅がお嫁さんにしてなんて言うから、ちゃんとした彼女は作らなかったし。
……つーか、真面目な付き合いが面倒だっただけだけど」
「それ、私のせいじゃないじゃない!」
「なのに、実紅はどうやら違ったみたいだし。
笠原だっけ? 俺と入れ違いで出て行った教師なんかに憧れてたんだろ?」
「な、なんで知ってるの?」
「田口が大声で話してたから、俺んとこまで聞こえてきてたし」