甘い愛で縛りつけて
「怖いのか、実紅。でもおまえが悪いんだろ」
確かに怖いのかもしれないと、言われて気づく。
手首を拘束されてるし、私を組み敷いている恭ちゃんはいつもの優しくて意地悪な恭ちゃんじゃないんだから。
この状況を私が第三者として判断したら、絶対に怖いし、こんな事をする恭ちゃんに対してきっと失望したり嫌悪したりするに決まってる。
これから恭ちゃんがする事を考えれば……怖くないハズがない。
だけど涙が出たのは、恐怖からではなかった。
恐怖の感情を隠してしまうほど大きい悔しさと……情けなさからだ。
「違うよ……。怖くなんかない。だって、恭ちゃんだもん」
じっと見上げる瞳から、涙がとめどなく溢れて頬を伝う。
そのせいで、恭ちゃんの表情がよく見えなくて。
私の言葉に恭ちゃんは一瞬、顔をしかめたように見えたけれど……それが本当かどうか分からなかった。
「こんな状況でよくそんな事が言えるな」
そう呟いた恭ちゃんが、溢れる涙を舌ですくう。
それから、ブラウスのボタンに手をかけた。
ひとつひとつ外されていくボタンに、さすがに少し怖さを感じた。